白い月~夜明け前のその空に~
ステージ前に集まって、盛り上がる生徒達。
その後ろでは、優月達のように、遠くからまったり眺めている生徒もちらほらいる。
長澤はあぐらをかき、腕を頭の後ろで組みながら、控えめにクスクス笑っている。
優月はふわふわした心の揺れに、少し酔っていた。
きっと、後が引かないのは長澤のせいだと。
だからどうしようもなく、彼の言葉が気持ちが気になっていた。
「探してた?何で?あ、あの話はナシだからね」
「あははは!それ、気にしてた?うーん、いつかは教えてもらうとして…。佐野ちゃんてさ、あんまみんなと群れないじゃん?後夜祭も多分見ないのかなーって。何か勿体ねーじゃん。早く帰っちゃうのさ。最後まで楽しまねーと」
ステージの明かりだけで僅かに照らされる、無邪気な長澤の笑顔。