結びの魔法
「何かあんのかな。掘ってみるか?」

陽の顔がぱっと輝いた。こういう宝探しのようなものは陽が一番好きな遊びだった。早

速陽が掘り返し始める。枯葉と土を退かしてゆくとそこには大きな石があった。多少で

こぼこしてはいるが表面はわりと平らになっていて、何か線のようなものが見える。も

っとどかすとそこには石に書かれた大きな紋章のようなものがあった。中世ヨーロッパ

にあった錬金術につかう錬成陣みたいな模様だ。複雑に絡み合い途中で消えている。

「これって・・・崩れてんのか・・・わざとなのか・・・。」

そこの近くに落ちていた石の破片にも線が刻まれていた。たぶん何かの衝撃、もしくは

意図的な何かによって壊れてしまったらしい。秀はいつの間にかそれを拾って組み立て

始めていた。僕らもかけらを拾うのを手伝う。



―そしてどのくらい時間がたっただろうか・・・。

「できたーーー!!」

あっているかどうかは分からないが僕らは夢中になってこのパズルを解き始めた。破片

のほうはばらばらながらも部品はすべてそろっていて、なぜかぴったりそこにはまっ

た。破片が綺麗に切り取られていたことから、意図的な何かによって崩されたらしい。

けれどよく見ると、真ん中に小さなくぼみが三つあることが分かった。ちょうど、ビー

玉くらいの大きさだ。そこにはまるかけらはいくら探しても見当たらない。

「くそう。これだけが気がかりだな。」

秀が悔しそうに言う。僕らも同じ気持ちだった。

「なぁ、そろそろ帰んないとまずくないか?」

あたりはもう夕暮れに近かった。門限はもうすぐだろう。

「でも、味噌・・・。」

「あ・・・。」

そうだった。すっかり忘れていた・・・。味噌やその他いろいろをまだ買っていなかったの

だ・・・。

手元にあるものはニンジンと大根とジャガイモのみ・・・。
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