結びの魔法
そこまで言うとそれ以上は何も言わなくなってしまった。うつ向き気味の顔はこれ以上

ないほど真っ赤だった。そして

「なんでもない!!」

そう言って飛び出していった。

「・・・なんだったんだろ?」

「「さぁ・・・。」」

僕らはしばらく考えたが答えはまったく出てこなかった。

「悩んでても仕方ないよ。それより今日こそまともな買い物をしにいこうか。」

「ウッス!」

今日は待ちに待った買い物の日。毎日野菜炒めのみはとてもきつかった・・・。今日こそお

いしいものを食べたいと待ち望んだ休日だった。

「今日はハムを買いたいな。お、お肉・・・。」

早くもよだれがたれそうだ。

「じゃあ、早速行きますか!」

「うん!」

三人は子供のように元気良く出かけていく。ブレスレットのシャランという涼しげな音

がやけにはっきり聞こえたような気がした。




「今日はしっかり買い物できたね。予定のものも変えたし♪」

早速出かけた僕らはとにかくほかのものには目もくれずまっしぐらでスーパーに行っ

た。そのかいあって予定時間よりもずっと早く買い物が終わってしまった。

「予定通りなのはいいんだけど、暇だね。」

街角で空を見上げながら陽がつぶやいた。

「・・・またあの森に行ってみるか?」

僕は半分冗談のつもりで言ってみた。

「今度は時計持ってるし、行くか。」

けれどそれはあっさりと許可された。秀はまだあの石版が気になるらしい。確かに完成

品を見てみたい気もする。こうして僕らはあの森に行くことにした。

しばらくしてこの前の森に到着した。けれど森はこの前とは違う雰囲気だった。枯れか

けていた木は若々しく満開で草も花もいきいきしている。

「ん~。マイナスイオンが出ていそうだな。」

「『まいな すいおん』?・・・秀には僕の知らない言葉をあんまし使わないでほしい

な。」

「やだね。もっと勉強しろ。」

「う~。いけずぅ・・・。」

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