結びの魔法
「そういうのは知ってるんだ・・・。」

「うん、本に書いてあったんだ。」

「意味知ってるのか?」

「もちろん!『い』じわるで『軽』率な『ず』っこい人の略だよ。」

「・・・お前は俺のことをそんな風に思っていたのか。しかも違うし。」

「え、ええと・・・。あ、ほら着いたよ!」

話に夢中になっている間に石版のところに到着した。入り口のところのように、ここの

木々もらんらんと輝いて、よりいっそ神秘的なものを感じる。

「・・・で、どうするの?またあのかけらを探すの?」

「そうだな、来たのはいいけどそれも面倒だしな。適当に暇をつぶすか。」

「そうだね。」

・・・そういうわけで僕らは石版にねっこがってごろごろしていた。最初のほうは緑が綺麗

だの鳥が鳴いているだのいろいろと面白かったが、だんだん飽きてきてしまった。

「やることないね。」

僕は寝返りをうった。シャランッとペンダントが音をたてる。それをつまみんで太陽に

かざしてみる。反射したうす紫色の光がいろんなところに反射してとても綺麗だった。

「これってビー玉かな?」

陽も腕ごと太陽にかざす。またシャランッと涼しい音がする。

「・・・わからない。」

最後に秀も腕を太陽にかざした。三つの石の光は重なってひときわ美しい光景をつくり

出す。しばらくそうしていると僕はうっかりペンダントを落としてしまった。

「わぁっ!や、やばっ!」

僕はあわてて起き上がりペンダントに目をやる。すると不思議なことにペンダントは落

とした音も絶てずに、ぴったりと石版にくっついていた。というよりも石版にめり込ん

でいた。

「こ、これって・・・。はまってるよね?」

そう。落としたペンダントはぴたりと穴に入っていた。

「すごい!ぴったりじゃん!僕らのもはいるかな!?」

陽と秀もブレスレットをはずしてはめてみた。大きさはやはりぴったりだった。三人が

すべての穴を満たすとカチリという音と共に中央の凹凸部分から水晶玉のような丸いも

のが出てきた。
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