結びの魔法
「なんだこれ。こんな仕掛けがあったんだ!」

その玉は神々しくきらきらと光っている。

「・・・なんかまぶしいね。」

「う、うん・・・。」

気がつくと一面にさしていた日の光がその玉に集中して注がれていた。だが僕らはまぶ

しすぎてはっきりとそれが見えない。

「なにこれ、すごいけど、なにこれ!?」

早くも陽がパニックを起こし始めている。僕も例外ではなく戸惑っている。逃げようと

も思ったが、動いて大丈夫なんだか良く分からない。光はどんどん濃くなってついには

何も見えなくなってしまった。そして突然パーーンッという爆発音が響いた。

「な、なななななな!?兄ィ。どこぉ!?」

陽が完全にパニックを起こしてしまっている。ただ、足音と声が響き渡っていた。

「・・・目が慣れてきた。いつまでやってるんだ?」

秀はさっきから一歩も動かずただじっと目を凝らしていたのだ。僕は右手、陽は左手で

服のすそをつかまれて引き寄せられた。

「あ、ありがと。」

「ごめん・・・。」

三人の存在を確認できると急に安心できて、それぞれ言いたいことを言えた。

「・・・光が薄くなってきた。」

秀の一言で僕らはいっせいにあたりを見る。そして愕然となった。そこはさっきまでい

た森の中ではなかった。目の前には小さな村が広がっている。

「・・・す、すげぇ!」

出し抜けに声を上げたのは陽だった。なんだか分からないが目を輝かせている。

「どうしたんだよ、急に。」

「日本てすごいね!こう、ぶわぁっと移動できる機械があるんだ!」

僕らはキョトンとなった。そんな話は聞いたこともない。けれど日本ならやりかねない

かもしれない。

「どういう仕掛けなんだろう?」

「それより。どうやって帰るの?」

「「あ。」」

僕の発言により、浮かれていた陽と、石版を調べていた秀が素っ頓狂な声を上げた。

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