結びの魔法
僕らは下の階に下りて行った。下ではグシさんと知らない女の人が座っていた。その子

は何の恥じらいもなく寝転がっていて。普通に下着が丸見えだ。

「・・・お、異世界人発見!くっふふぅ~。」

その人は僕らを見るなり、まじまじとにじり寄ってきた。そしておもむろにすっと手を

かざした。そして手に少し力を入れるとすぐに抜いた。

「なるほどね。おい、ちび。氏はのどが渇いた。お茶をもってこい。」

そう言ってまたソファーに寝転がる。

「ええと、お茶ね?台所どこだろう。あ、日本茶とかあるかな・・・。」

陽は一人でぶつぶつ言いながらあわただしく近くの部屋をのぞいている。

「いやいいんだよ!おい、ルゥ。客人をそんなに困らせてやるなよ。」

「なんだ、少しくらいは良いではないか。それともお前が持ってきてくれるのか?」

そう言って悪戯っぽくニヤリと笑う。その笑い方は悪い魔女のようだ。

「・・・まったく。それくらい自分の魔術で何とかしたらどうなんだ?」

グシさんは軽く溜め息をつく。

「ああ、ごめんよ。ほら座りなさい。ルゥ、カルチャの準備頼むよ。」

グシさんは台所に行ってしまった。ルゥと呼ばれた人は面倒そうに立ち上がりさっきと

同じ要領で両手を僕らに向けたそして今度は。伸ばした手を、縮めたり伸ばしたり、回

したりして最後に僕らのそれぞれの額を指で触った。

「・・・あの、これは何でしょうか?」

僕は気になって聞いてみた。またさっきのように痛いかもしれないし・・・。

「安心して。これは痛くないよ。多少はね・・・。」

「ええっ!?」

僕らが驚くとまた人の悪い笑いを浮かべる。

「というのは、うそ。痛みはない。」

そう言って訂正した。どうやら人をからかうのが好きらしい。見た目は陽よりも少し小

さいくらいの女の子なのに、中身は本物の魔女のような気高い雰囲気をかもし出してい

る。

「コルネド!準備はできた。先にやってもいいか?」

声を張り上げてグシさんに状況を伝えた。

「ああ、先にやっていておくれ。お茶っ葉が見当たらんでな。・・・ああ!!」

グシさんの声と共に何かの落ちる音と、崩れる音が聞こえてきた。





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