結びの魔法
山が・・・胸の上に小山が・・・。

「・・・くふふ。遊びすぎた。ごめん。」

そういうと指をぱちんと鳴らした。すると瞬時に男に戻る。

「・・・よかったぁ・・・。」

僕が安堵のため息をつくと同時にグシさんがよたよたとお茶を持ちながら帰ってきた。

お茶はなみなみと注がれていて今にもこぼれそうになって危なっかしい。

「・・・おまたせ。お茶をぉ~持ってきたよぉ・・・。」

何とか笑顔で僕らに報告。そしてそれで目を放した隙にお茶はついにこぼれた。

「うあちちっ!!」

あわててお盆を投げ飛ばす。それは天井に当たり、跳ね返って僕の頭に当たった。

「っ~!!」

言葉にならないこの痛み・・・。何なんだまったくもう・・・。

「わぁ!ごめんよ!ええと、拭くもの!」

グシさんはあわててほかのお茶もこぼしてしまった。机の上は浸水していて床にも被害

は及んだ。

「うわぁ!大惨事!」

見ていたルゥさんはなんだか楽しそうにそう言った。そしてゆっくりと今度は指を紅茶

のカップに向ける。そしてクイッと上に動かした。すると、こぼれたお茶はカップに戻

った。そして何事も無かったかのように机に上に元通りに置かれた。

「できないことはするもんじゃないね。ひとつ発見。」

「最初からそうしていればいいものを・・・。」

おおらかなグシさんが始めて怒った。

「・・・まあいい。とにかくカルチャをはじめてくれ。」

「うん。」

ルゥは再び僕らに手をかざす。すると、頭の中に映像が流れ込んできた。見渡す限りの

草原、淡々とわき上がる湖があるのみだ。

「むかし昔のことだった・・・。」

ルゥさんはゆっくりと話し始める・・・。あったことはないが暖かな母さんのぬくもりを感

じたように思えた。
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