みんな仲良いよね、そうゆーこと。
「アンタだってケチケチケチケチしちゃってさぁ!いいじゃんネズミ探して森フラついてても!それくらいみんなする事じゃん、ねぇせんせー!」
「へ?あ…え?」
「いやおまえ何匹捕まえようとしてたか思い出してみろ、もちろんネズミの出現率と比べながらな!どんだけ返さねぇつもりだったんだよなぁ先生!」
「う、うん…?つーかあれ?コレ水森が貸してたの?」
「そうなんだよね、このケチくさくて口うるさい水森に借りたせいで全然思うようにいかない最低な旅の末路を辿りそうだよどうにかしてくれ」
「え?いやどうにかって…」
「はぁ?ケチだと?おまえな、俺のセーブデータ上書きしなきゃなんねぇのに貸してやった俺の広い心忘れんな!おまえのデータは俺の大事なデータを犠牲にして今こうして生きている!」
「んな事貸してあげますって了承して時点で快諾済みって事だから。今更そんな事を議題にあげるおまえに広い心?はっ、笑わせる!」
「なんだと…?つーか旅の末路ってな、おまえがちゃんとしてねぇのが悪いんだろーが。ちゃっかり全部俺のせいにすんな!」
「はぁ…分かってないなぁ。アンタがネズミ事件からやたら煽ってくるからこんな事になっているのだよ。早くしろしろうるさい!こちとらみっちりじっくりやってんだ邪魔すんなボケ‼︎ 」
「邪魔しなきゃてめーはいつまでもやってて返さねぇだろ!借りパク常習犯を信用なんて出来るかっつーの!」
「だったら始めから貸さない事だね。さっきも言ったけど借りたらもうあたしのもの。そうだ、アンタの言葉に惑わされてた。何もあたしは急いでクリアする必要なんてこれっぽっちも無かったんだ…!」
「…おまえ、ついにそこまで辿り着いたか。先生、ここに未来の犯罪者予備軍がいます、直ちに対処した方が世の中のためです」
「せんせー、こんな事言ってますがまずはこの人に防犯に対する意識の勉強からしてあげた方がいいと思います。鍵が開けっ放しの家には泥棒が入るんだよの所から。そして悪いのは泥棒じゃない、対策も出来てない丸腰の自分がいけないという事を知らしめた方が彼の未来のためだと思います」
「……」
「おまえさ、それはつまり自分は泥棒だと認めたって事か。泥棒に入る気満々で俺を訪ねたと」
「違うよ、あたしはいつか返そうと思ってたよいつか。ただ、泥棒が来るならこうやって来るから気をつけなと、それをアンタに教えてあげたいとは常々思ってる」
「つ、常々?」
「水森はガードが甘い。絶好の狩り場」
「!、先生…っ!」
「…ごめんな、水森。水森は正しい。ただ…コイツは泥棒でもあり猛獣でもあり異星人でもある。それが分かってたおまえがなんで…なんでゲームなんか貸したんだ…!」
「っ……やっぱり、俺の甘さが仇になったと、そういう事なのか…」
「悪に屈服するしかない世の中なんて間違ってるね。はいはい世も末世も末」
「……」
「……」
続・藤野さんが居ません。
ほんとコイツは、自分がその悪だって分かってんのかよ。こんな奴がのうのうと生きてるなんて世も末だ。