みんな仲良いよね、そうゆーこと。
「水森ってさー、身長何センチ?」
「?、16…6くらい」
「ふーん。で?血液型は?」
「A型だけど」
「兄弟は?」
「弟が一人」
「誕生日は?」
「6月23日」
「ふーん」
「……」
「へーえ」
「…なんだよ」
「ほーう」
「だから何なんだよ!」
「いやね、余りにもありきたり過ぎて」
「は?」
「もうね、何かフツー過ぎんと言葉が出ない。つーか質問する気も無くなるもんだなと」
「…そりゃ悪かったな」
「だってさ、166って何?高一男子として高くも無ければ低くもない。A型なんて言わずもがな日本一多い血液型。兄弟二人も逆に今増えてる一人っ子よりもありふれてて、5、6、7月らへんの誕生日の多さヤバいってゆーあたしの調査結果に見事に則っている」
「……」
「ほんと面白くないね!フツーだ、THE フツー。むしろベスト オブ フツー」
「…可笑しいな。まるで普通なのがダメな事みたいに聞こえてくる」
「あら、そう言うあなたは自分でもキング オブ フツーを受け入れてらっしゃると。しかもその言い草、フツーで何が悪いと開き直る勢いですか。フツーである自分カッコいいと、そんな思考の持ち主でしたか」
「いや、別にそこまでは言ってな、」
「なんですかその自信は。ブレるつもりない感が怖い。まさかフツーでいるってゆーポリシーでもあるんですか?それをアイデンティティーとしてるんですか?よくありますよね、普通の平凡でありきたりな自分に起こる不可解な出来事的な話。もしかしてそうゆー主人公気取りなんですか?」
「いや、いやいやちょっと待て、」
「いますねー。いますねそうゆー夢見ちゃってる人!そしてもしかしたら自分も…!なんて。それ完全に制作側の策略にまんまとハマっちゃってるんですよ、分かってます?ハマっちゃってる自分の果てしない平凡さ、分かってます?」
「……」
「平凡な主人公なのは平凡な奴が共感出来るように自己投影しやすいようにあえて平凡だって設定にしてるんです。それでまずは大多数の平凡な人間の心を掴む。そして進めていくうちに…分かるはず。本当はその主人公、平凡じゃ無かったって事を」
「……」
「隠された才能発揮ですよ。そして奇跡の生還、ついでに世界も救ってるかもしれない。そんなすごい人と自分が同じだと思いますか?思ってしまうんですよ、だってその主人公、平凡だったから。平凡だと、自分と同じだと始めに刷り込まれちゃってるから」
「……」