みんな仲良いよね、そうゆーこと。


「今世の中には唐揚げ専門店ってものがちょくちょく見受けられるようになりましてね、まぁ唐揚げ専門アドバイザーのあたしとしてはやっぱ一周はしますね、見かけるたび店内制覇しますね」

「あー始まった。専門アドバイザーはツッコンで欲しいんだろうか」

「味はもちろん、最近は色んな部位を揚げて登場させる所もありますね。まぁ唐揚げ好きは鶏肉好きとイコールみたいなもんだと思ってますから、どの部位でもかかってこいなのはお互い了承済みといって過言ではないですね」

「…そうなのかなぁ」

「で!そんな食べ歩きマスターのあたしが行きついた結論を申し上げますと、結局モモのにんにく醤油味が一番美味い!」

「あぁ…最もスタンダード過ぎてそうだよねとしか言えねぇ」

「しかもそれは、なんと水森家の唐揚げでもある!」

「え?俺んち?」

「モグモグ…うーん、でもね、あたし唐揚げと竜田揚げの線引き激しいタイプだからさ…水森、味は良いから粉は小麦粉オンリーにしてって頼んどいて。モグモグ…」

「って!それ俺のか!俺の唐揚げか!」

「うーん、味はほんといいんだけどね…衣がね…竜田揚げ感出しちゃってんだよね…」

「いや、つーかおまえ自分の食えよ!俺それとっといたのに…最後の一個だったのに…」

「おや?てことは水森氏、君は好物を最後に取っておく派ですと?」

「そーだよ!それで最後に幸せに終わるんだよ!」

「おやおや、つまりは同じ唐揚げ好きなのに食の美学に対する傾向が違うと…あぁ、なんて悲しいんだ」

「…また意味分かんない事を」

「美味しいものは美味しいうちに。唐揚げは温かいうちに。むしろ揚げたてをつまみ食いで。唐揚げ好きは大体唐揚げをトップに持ってくる、これ常識!これぞ唐揚げの美学!」

「そりゃあ俺だってあったかかったらまず食うよ。でもこれ弁当だろ。冷えっ冷えだろ」

「いやいやその言い訳は生ぬるい。普段から繰り返されている習慣がこんな所で覆される事など無いはず。唐揚げが目に入ってしまったらまず箸を伸ばしてしまう、それが唐揚げ好きの在り方じゃないんですかね⁈ どうなんですか⁈ 」

「あぁ思い出した。俺そこまで唐揚げ好きじゃなかったわ。今思い出した」

「じゃあ唐揚げはあたしの勝ちという事で。そしたら次はあたしの二番目の好物、卵焼きの話でも…」

「あーもういいって!いいっておまえの持論は聞き飽きた!」

「まず卵焼きは出汁が入ってるか入ってないか、そして砂糖と塩の割合感に焼き色なんかが…」

「もう助けて、メシくらい楽しく食わせて…」




好きな物を語れるようになろう。


もうコイツと好きな物の話をするのはやめよう、ほんとそうしよう。

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