みんな仲良いよね、そうゆーこと。

「水森。藤野はどこだ」

「知りません」

「どこ行ってるんだアイツは、授業はとっくに始まってるんだぞ」

「だから知りませんって」

「…分かった。じゃあ仕方ないな、しょうがない。水森、探して来い」

「なんで俺が。断固拒否します」

「え、なんでだよー。このままじゃおまえ、藤野が授業を受けられないんだぞ？他でもない俺の授業だぞ？」

「…そう言われると何とも言い難いですが、一応俺も授業を受けたいんですけど。探し行ったら俺が受けられないんですけど」

「だったら早く連れて帰って来いよ」

「だからなんでそうなるんですか。つーか本当なんで俺？他の奴でもいいでしょ！」

「そうか？おーい、他に藤野探しに行きたい奴居るかー？」

「……」

「居ないってよ」

「……」

「まぁさ、仕方ないって。みんなアイツとの関わり方が分かんないんだよ。アイツはほら、少しだけ変わってるから。とゆーかむしろ変わってる方だから。てゆーか正直本当変わってるから」

「…フォローしようとしたけど結局嘘はつけなかったんですね、分かります」

「だからつまりな？アイツと渡り合えるのはやっぱりおまえしか居ないっつー事な訳。つーかあれだろ？確かおまえアイツの彼氏だろ？」

「いえ、違います」

「あ、そうか。幼馴染みの方か」

「全然違います。高校で出会ってしまったただの同学年の女子です」

「そうか、同じクラスで隣の席になって仲良くなった今から熱い展開が始まるんだな、なるほどなるほど。じゃあ行って来い」

「断じて違う！」

「もうさー、もういいから。いいからそうゆーの。行って来いよマジで授業進まねぇんだよリアルな話。なのにシカトしてアイツフラつかせてんとまた職員会議で怒られちゃうんだよ、担任のこの俺が。俺はこんなに頑張ってるのに可哀想じゃない？教頭先生怖くない？な？みんなそう思わない？」

「誰も同意してません。みんな目を逸らしてます」

「…みんな…っ、みんな違ったじゃん！入学したばっかの頃はもっと素直な瞳でこっち見てたじゃん！」

「自業自得です。というかもうみんな諦めてるんだよ、アンタにも藤野にも。俺ももう限界だよ」

「そんな！水森まで俺を見捨てないで！」


ーーガラッ


「せんせーっ！ごめん、ほんっとごめん‼︎ 」