佐々倉のカノジョ。
「あはは、ごめんね、今中1で、大空って言うの。ほんとは優しい子なんだよ」
まぁ、お前が言うならそうだろうな。
中1とか、まじでガキだな。
「へー、あとで喧嘩してやろうか」
「ちょ、だめだよ!」
「嘘だよ」
「おにいちゃん」
玄関から台所までの間、ずーっと璃乃にくっついていた茜がふと俺を見上げそう言った。
「ん?茜、嵐くんのこと気に入ったの?」
「あらし、好きー」
にこっと笑って今度は俺の足にくっついてくる。
なんだよまったく、可愛いな。
おにいちゃんでも嵐でも好きに呼びやがれ。
あー、調子狂うけど楽しいなこの家族。
「姉貴、腹へった」
「あ、ごめんね、今作るから」
そこに生意気弟が登場。
俺を睨んだかと思ったらすぐに逸らしてソファに寝転がって漫画を読み始めた。
「嵐くん、茜と遊んでもらっててもいいかな?」
「あぁ、いいけど」
「わーい」
手を広げて喜ぶ茜を抱き上げて、ぐるぐる回す。
「きゃーっ、アカネ、飛行機になったー!」
無邪気すぎる。
なんだこの生き物。
そんな茜に癒されていると、またもや大空が入ってくる。
「茜、あんま寄ると頭の色がうつるぞ」
「きんいろーっ、きゃーっ」