佐々倉のカノジョ。
無邪気な茜にそう返された大空は少々ムッとしてから、俺に尋ねた。
「つか、お前、姉貴のなんなの?」
俺は一旦、茜を下ろして、大空とは反対側のソファに座る。
そうすると、俺の隣に座る茜。
「さっき璃乃が言ったろ、ただの友達だって」
「なんでナリヤンみたいなお前が姉貴と友達なんだよ」
いちいちムカつくなこの野郎。
一発殴ってやろうか。
「ナリヤンじゃねぇし。そもそも別にヤンキーじゃない」
そもそもヤンキーってなにが基準なんだ。
「変な頭なのに?」
「うっせぇなさっきから変な頭って。ただ染めてるだけだろ」
下から心配そうに見つめる茜の瞳が俺の熱を下げる。
「姉貴にお前は合わねぇっつの」
「なにお前、璃乃の彼氏じゃあるまいし」
「んなっ!!」
ガタンっ、
大空がソファを蹴り倒す勢いで立ち上がる。
「…あーっ、ほんとうぜぇお前!!姉貴、俺、出掛けてくる!!」
「えっ!?ちょっと、もう暗くなるよ!」
璃乃がそう言ううちにも大空は家から飛び出していった。
なにアイツあんなに動揺してんの。
意味わかんねぇ。
「まさかアイツ…」
「あらし…?」
茜を抱き上げて、璃乃の元に連れていく。
「俺アイツ探してくっから」
「でも……」
「お前が出ていったって危ないだけだろ」