佐々倉のカノジョ。
俺は茂みから移動し、そいつらの後ろに回り込んだ。
そこで、璃乃が二人の前に飛び出した。
「え、璃乃!?なんでこんなとこに!」
「なに?知り合い?」
「あたしの友達」
「早く逃げないと殺人鬼が来るよ!!」
はは、璃乃、迫真の演技だな。
うまいうまい。
「なに言ってんの、璃乃?そんなのいるわけ……」
がしっ
俺は背後に近づき、彩佳の首を絞めるように腕を巻いた。
「ひっ!?」
「彩佳、どうした?」
彩佳の少し前に立っていて俺に気づかないのか。
ちょうどいい。
俺は彩佳を右腕で拘束したまま、渚の鳩尾辺りに左足を投げ入れた。
「うっっ!……けほっ、なんだ!」
「おにいちゃ、あた……し、の後ろ」
「誰だてめぇ!!」
だんだんと雲に隠れていた月が姿を表す。
それと同時に、暗闇の中の俺の姿も浮き上がる。
「……!嵐!!」
「わざわざやられにくるとはお前もバカだな」
「てめぇ……」
スッ、と渚が取り出したソレは、月明かりを浴びてキラリと反射した。
「彩佳を離せ。殺すぞ」
「ホントにシスコンだな。それ以上こっち来たら、コイツ、絞め殺すぞ」
「はっ、どうせそんな度胸もないくせに」
信じてない様子の渚に、俺はさらに強く締め付けた。
「……っ、は、っ」