佐々倉のカノジョ。
「ホントに殺るけど?」
「昔の女ごときでムキになりやがって、ばかじゃねぇの?」
はははっ、と笑い出す渚。
あー、俺の怒りを収める力が削られていく。
「へぇ」
ぐっ、と腕に力を込めると、ガクンっと彩佳は崩れ落ちた。
「あーあ、バカな兄貴のせいで」
「彩佳!?」
実際に死んではいねぇけどな。
気失っただけ。
やっとこれから本番だ。
走ってこようとする渚に、蹴りを入れて止めさせる。
「来んなっつってんだろ」
「うるせぇな人殺しが!!どけ!!」
「どいて欲しけりゃそこで土下座して今までのこと俺に詫びろや」
「はぁ?誰がてめぇなんかに」
「だったらてめぇもぶっ殺す」
俺が再び拳を握ったときだった。
暗闇から、たたっと走ってくる音がした。
「彩佳!!」
「璃乃、危ねぇよ、下がれ」
「彩佳、死んじゃったの!?」
こーなると思ったから、俺がいいって言うまで出てくんなって言ったのに。