キミトノナツ……
第一章
“かわいそう”
つまらない毎日。
いじめられないように…ただ地味に平凡にクラスにいるだけ。
──バシャッ!
「きゃ……っ」
私には重々しく聞こえる水音と短い……女子のか弱い悲鳴。
「楠木、おーはよ♪」
片手にバケツを持ち、嬉しそうな顔を見せる坂井さん。
「っ……」
びしょびしょのまま…坂井さんを睨み付ける楠木さん。
「何、その目?」
一気に不機嫌になる坂井さん。
「こんなことして…楽しいですか?」
呆れたように呟く楠木さん。
「楽しいよ、当たり前でしょ?」
「じゃあ…ずっとそうしてて下さい。愚かな心を持ち続け──……」
ガァンッ!!
「……調子、乗んなよ」
坂井さんはバケツをコンクリート作りの教室の床に投げた。