豆粒の悪戯
6.豆粒
あ、やばい。

塾の先生が宿題だったプリントを出すように促したときに私は思った。

宿題はやったけれど家の机の上に置きっぱなしだ。

「忘れた者はいないかー?」

うわ、誰もいない。

しかも教室はたくさんの生徒がいるにもかかわらずシーンとしている。

とても自分一人手を挙げられる状況じゃないです先生。

そんなことが出来るのは勇者です。

「よしいないな。」

すいません、います。ここで黙ってバレないように下を見ています。

先生が回答を唱えながら教室を徘徊している。

コラッ、さとし!ちゃんと座りなさい!

ぶふっ…。自分で笑ってしまった。

恥ずかし~。

「あれ、お前プリント出てないぞ。」

私の心臓が引っ繰り返った。

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