豆粒の悪戯
父がまとまったお金を残してくれたお陰で

紘子さん一人の収入でも困ることは無かった。

結果、頭は悪くないけど要領は悪くなった。

紘子さん、こんな私どうでしょう?

「ごめんね、今日ちょっと仕事終わるのが遅くてお夕飯がまだ出来てないの。

ちょっと待っていてね。」

か細い白い腕で彼女は包丁を握った。

何年見ていても私には危なっかしいとしか言いようが無かった。

あーもう。仕事で疲れているでしょう?料理はできないけれど、

私になにかできることはない?

「じゃあお手伝いしてもらえる?ごめんね。」

いえいえ。貴方はただでさえ赤の他人を養っている素晴らしい人なのですから
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