『Bad day~二度ある事は三度ある~』
二十代最後の日
一度目
日本食をベースとした創作料理の店は大勢の客で賑わいを見せている。
店内のあちらこちらで女子会をしているのか?
グループ単位で盛り上がり、楽しそうな話し声や笑い声が私たちの席にまで流れてくる。
全体としては和風な内装なのに、北欧風の面白いオブジェ等も配されていて目にも楽しい空間が付加価値を与えている。
「女性に人気の店は成功する」そんな言葉がぼんやりと頭に浮かんできた。
お洒落で清潔感があり且つ居心地が良い、人気があるのも頷ける。
なかなか予約が取れない店はお通しからして彩りも鮮やかで普段なら料理への期待値でテンションが上がるところだけれど…
カチンと4つのグラスを合わせて親友たちが私に笑いかける。
「「「美加、昇進おめでとーかんぱ~い」」」
「かんぱい…ありがとー」
私の昇進を祝って皆忙しい中を集まってくれたのだ。
久しぶりの女子会なのに…
私は胃の調子が悪く、おまけに目の奥を針で突き刺すようなズキズキとした痛みもあって上手く笑えない。
まぁー昇進した理由が理由なもんで正直喜んでばかりも居られないのだけれど…
長年付き合っている恋人に女の影があり現実逃避で仕事に邁進したら、
たまたま昇進してしまったのだからホントに複雑な心境なんだよね。