『Bad day~二度ある事は三度ある~』
三度目
もう大分…
心が疲弊していたので家でゆっくり休みたかった。
もう今日は電車ではなくタクシーで帰ろうと決めてタクシー乗り場を目指して歩きだしたら
「吉行美加さんですよね?」と行く手を阻むように声を掛けられて立ち止まる。
「はい、そうですが…何か御用ですか?」声を掛けて来た20代前半の女性に全く見覚えがない。
「…おばさんが部下に色目使ってんじゃないわよ!この泥棒猫が…」急に鬼のような形相に豹変した彼女の顔と言葉に驚いていたら、いきなりパンチが飛んできた。
普段パンチを避ける練習なんてしていない。
しかも今日は色んな意味で絶不調な私
ショックに固まった体はまともに顔面で彼女のパンチをくらってしまった。
あまりの痛さに…理性が吹き飛ぶ!
「二度ある事は三度ある」とは言っても、いくらなんでも酷過ぎる。
二十代最後の日をこんな最悪なかたちで締め括らなければいけない程
日頃の行いは悪くない筈だ。
こんなんじゃ神様にも悪態を吐きたくなる。
人違いだろうが、相手が頭のおかしな女だろうが絶対に許さない。
日付が変わるまでを警察署で過ごす事になろうが
30歳の瞬間を警官に調書を取られながら迎えようが関係ない。
捕まえて警察に突き出してやる。
先程まで疲れ切って早く帰りたいと思っていたのに、怒りは凄いパワーになるのね?
アドレナリンが分泌中?
暴れる女の両腕を捕まえて抑え込む。