『Bad day~二度ある事は三度ある~』

財布から壱万円を出して向井という男性に

「お世話になりました…これお約束の壱万円です」と差し出すが

「お金の事は冗談です…今から治療しますよ」と手を引かれ、この場所から連れ去られる。

「私これから救急病院に行きますから手を放して下さい…」そう訴えるのに

「相当疲れてそうだから特別にうちで治療してあげる、痛み止めと眼帯貰うのに2~3時間待つことになると思うけど救急病院がいいなら止めないよ…」ニッコリ笑って言われた。

確かに今から救急病院に行ったら帰るのが何時になるか分からない、厚意で時間外診療をしてくれるという向井に甘える事にしたのだか…

「でも先生…BARでお酒飲んでますよね?」悔しいから素直じゃないセリフを口にする。

「うん、手術は出来ないけど治療なら大丈夫だよ…俺、酒強いし…酔ってないから」私の皮肉にも嫌な顔をせず答えてくれた。

二人で2、3分は歩いただろうか?

何度も通っている道沿いに向井医院はあった。


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