『Bad day~二度ある事は三度ある~』
その関係に陰りが出始めたのは半年前
二人で居る時にもスマホを肌身離さず傍に置く、そして着信音が鳴ると部屋を出て会話をする亨
元々上手く立ち回れるタイプの人間ではないから直ぐに怪しいと気が付いた。
けれど…私から水を向けたりはしない。
亨が「浮気をした」と話すにしても、私と「別れたい」と話すとしても彼の意志で彼の口から話して欲しかったから
私生活では別れの予感を感じつつ傷口を最小限にする為に心の準備だけはしっかりして彼からの連絡を只々待っているという何とも情けない状況なのに仕事に至っては順風満帆と来ているのだから皮肉なものだ。
「美加はホント順風満帆な人生よねーあぁ~羨ましーい私も仕事辞めるんじゃなかったなぁーはぁーーー」
もう酔ったの?
若干棘を含んだ態度に、大袈裟なため息をつきながら絵里が絡んでくる。
5歳と3歳の小さい子供がいる絵里が飲み会に参加する事からして最近では異例の事で何かあったの?
そう思っていたら絵里がいきなり泣き出した…
旦那さんの浮気疑惑でケンカになり子供を連れて実家に帰ったところに千尋から私の昇進祝いをすると聞いて急遽参加してくれたらしい…って言うか愚痴りたかったのね?
私も今日、亨との事を相談するつもりだったけれど…
日が悪そうだからまた今度にしようと思い直す。
いつから彼女たちに遠慮するようになってしまったのだろう?
そんな事を考えていたら…
目の座った絵里が私を標的にする。