遠くにいる君に。
「………違う。今まで先に帰っちゃってたのも、きょうも。結菜は、陽向くんのとこにいってたの。あたしは、あたしは………、それを、止めなかった。」
…止める、必要があるのか?
どこにすんでいるのかなんて知らないけど、会いに行くなんて、別にいいんじゃないのか?
そう思うのに、胸の中がもやもやした。
「……どういうことだ?」
「前もいったけど、あたしからは、言えない。ごめんなさい。
結菜のとこにいってあげて。」
南の声は、震えていた。
「…うん。じゃあ、気いつけて帰れよ。和泉、呼ぼうか?」
「ううん、大丈夫。じゃあ、結菜のこと、頼むね」
南はゆっくり、手すりにてをつきながら、帰っていった。