遠くにいる君に。
「……変な話だよね。私たち、ただの幼なじみだったのに。彼女でもなかったのに、私が悪いのに。陽向のお父さんとお母さんは、何事もなかったみたいに、私に接してくれる。本来ならあの2人が選ぶはずだった、陽向の安寧の地も、私が選んだ場所に作ってくれた。」
結菜は自嘲ぎみに笑った。
悲しい笑顔だった。
「……って、ごめんね。こんな話されても、困るよね。」
なにも言わない俺を見て、気遣うみたいに、無理矢理話をやめた。
もっと話してほしいと、思っているのは確かで、俺は彼女を、知りたいとそう思うのに、
言葉が喉に張り付いて、掠れた声さえも、出なかった。