大嫌い…だけど、好き。
「島崎くんでしょ?」
「は…?ありえないし!!大嫌いだしっ!!」
アタシに好きな人はいないが、大嫌いな人物は存在している。
その人物こそが、島崎渚。(しまざきなぎさ)
アタシの幼馴染みで、すごくムカつく奴。
「えー、いつも仲いいじゃん!あだ名呼び出し!!」
「よくない!!呼びやすいから呼んでるだけ!!」
アタシは渚のことをナギと呼んでいる。呼びやすいから。これ以外の理由はない。
ナギもアタシのことをサユって呼んでる。きっとナギも同じだと思う。
ナギとは、顔を合わせるたびにケンカをしている。
私は悪くない、悪いのはアイツ。
「あんな女みたいな名前の奴なんか嫌よ!!バカだし、うるさいし、女たらしだし絶対無理っ!!」
「へぇー…でもさ、そんなこと言っていいの?サユの真後ろに島崎くんいるけど」
「………え?」
恐る恐る後ろを見ると…
黒い笑顔をしながらアタシを見下すナギ
さ、最悪ぅ………
「へぇ…言ってくれるじゃん。」
「ふ、ふん!だって事実じゃない!!男のくせに遙とか…笑えるわ!」
「サユ…お前…人が一番気にしていることを…ッ!!」
「知らないわよそんなの!!性格も女みたいね!女々しいのよ!!」
「何だと!?ゴリラ女がぁっ!!」
「はぁ!?誰のことよ!!」
アタシとナギの言い合いは、続く。
誰かが止めてくれなかったら永遠に終わらないかもっ。
「あー、もうウザい!!アンタなんか大っ嫌いなんだから!!」
「オレも。怪力女は無理だし」
〜〜〜っ!!
ほんっとにムカつく!!
コイツの一言一言に腹が立つ。
このとき、改めて思った。
コイツとは、一生仲良くできない。
ずっと嫌いなままだと。