不機嫌なアルバトロス
利用される女
「あ、ちょっと。これ、コピー頼むよ。」
「おい。そうそう、君。コーヒー二つ淹れて、第三会議室に運んどいて。」
「そこの。電話鳴ってるだろう、とったらどうかね。」
「あ。あの人…ほら、ねぇ。アホウドリっていう…」
「ほら、あいつだよ。まあまあだよな。俺もお願いしよっかなー」
「あぁーら、安い女。今は一体どなたのお相手していらっしゃるのかしら?もう社内に相手はいないんじゃなくて?クスクス」
ったく。
どいつもこいつも。
私には、櫻田花音(さくらだかのん)って名前があるっつーの。
おい、とか。
そこの、とか。
君、とか。
あ、とか。
……アホウドリとか。
人の名前ってものを、無視している。
いや…
彼等にとって、私はヒトですらないらしい。
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