不機嫌なアルバトロス
ちょうど良いタイミングで着ていたエレベーターは空っぽだった。



「はーーーーーーーーーーーーぁ」



止めていた息を吐き出すかのようにして、長い溜め息を吐く。



外が見えるようになっているこのエレベーターが自分は好きじゃない。


昇っていく時はまだマシだが、降りていく時は本当に落ちてしまうんじゃないかと怖くなる。


それはちょうど、今の自分自身のようだった。



『あんた、自分で思ってるより、いい女なんだけどな』



先程言われた言葉が急に頭にぽんと浮かんで、ぼっと顔が赤くなる。


あれってどういう意味だったんだろう。


褒められたのか、けなされたのかわからない。


あの人の言う事や行動は突拍子もなくて、心臓に悪い。
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