不機嫌なアルバトロス
私は勢い良く立ち上がり―
ぐびぐびぐびぐびー
目の前に置かれっぱなしだったオレンジの液体を飲み干す。
「カノンちゃん?!」
トーマが驚いたような声をあげた。
カンッ
強めにグラスをカウンターに叩き付け、
「っ、わかりましたっ!」
真横に座っているタカの胸倉をぐぃっと掴んで―
チュッ
タカの頬に軽く唇を当てた。
そしてすぐさまバッと離れた。
「カノンちゃん…結構大胆なのね」
タカがびっくりしたようにぱちくりと瞬きする。
が。
「でも、ちょっと物足りない、かな?」
次の瞬間左手首に巻かれたリボンをグッと引っ張られた。
「んっ!!!??」
目が、見開かれる。
噛み付かれたかと思った、ら。
タカの斜め向こうに見える、青い光に照らされた人と目が合ってそれどころじゃなくなった。