不機嫌なアルバトロス

========================



ヴーヴーヴーヴーヴー



しとしとと、雨の音が、する。



身体が、鉛のように重い。


頭がガンガンする。


そして、携帯の振動に吐き気がする。



瞼を開けることができないまま、私は枕付近を手でまさぐって携帯を掴み、電源を落とした。



ぼにゃーっとした思考で、昨晩雨に降られたことを思い出した。




「…熱、あるなこりゃ…」




心から、反省。


社会人として、情けない。


だけど。




身も心もぼろぼろだ。



有休、使おう。



会社に、電話しなくちゃ駄目か…


今さっき切ってしまった携帯を再度復活させる。


瞼すら重たく感じながら、薄く目を開けて画面がついたのを確認した。





「…うわ。。憲子ばっかり…」






見事に憲子からの不在着信で画面が埋め尽くされていた。




そうだ。置いてきちゃったんだった。



携帯も長いこと鳴っていた気もする。



だけど、ぎゃんすか泣いていた私は自分のことで精一杯で。



「憲子…に、電話…」



熱に浮かされながらも、なんとか震える手で通話ボタンを押した。


< 202 / 477 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop