不機嫌なアルバトロス
―からだが熱い。重い。
ごそごそとベッドにもぐりこむと、私は目を閉じた。
暗闇に浮かぶ人物。
青い光に照らされて、意のままに会場の人々を操る。
中堀空生は、、
零という名前の、クラブのDJだった。
片耳にヘッドホンを当てて、何やら機械をいじってた。
金色の髪をして。
その姿は、今まで見たどれよりも、一段と光ってて、一番格好良かった。
なのに。
枯れたと思っていた筈の熱いものが、またこみ上げてくる。
どうしよう。
これからどうしよう。
あの人の事が好きだと認めざるを得ない状況。
でもこの想いが叶うことはないだろう。
絶対に好きになっちゃいけない人だったのに。
本名を知っただけで有頂天になっていた自分が至極滑稽だ。
次会うことになったらどんな顔して会えばいい?
あの人のことになるとどうしてこんなに上手くいかないんだろう。
ほぼ何も考えることができない程、ぼうっとしてくる頭。
好きだって、
伝えるだけのことが。
大人になるにつれて、
どんどん言えなくなってしまうのは。
どうしてなんだろう。
眠りに落ちていく中で、そんなことを思った。