不機嫌なアルバトロス
宣戦布告-タイムリミットまであと9日-
金曜日―
am 6:00
「…やった…」
私は珍しく携帯のアラームが鳴る前に解除してやったことに、深い達成感を覚えていた。
咳はまだ残るものの、熱は下がっている。
いそいそと窓に近寄り、カーテンをばっと開ける。
まだ朝日が昇り始めたばかりだが、明るくなりかけた空に、雲は見えない。
きっと、今日は快晴だ。
私はケトルを火に掛けて、お湯が沸くまでの間、洗面所で顔を洗った。
気合を入れる為に敢えて冷たい水をざぶざぶと使う。
「ふー…うしっ」
パンパンッと顔を叩き、鏡の中の自分と向き合った。
―昨日の自分は熱でどうかしてた。
「なかったことにしてください」
自分で自分に頼み込む。
だって。
憲子の言うとおりだ。
こんな状況は明らかにおかしいし、何しろフェアじゃない。
未だにもやもやするこの感情。
だけど、持っていても健康には良くなさそう。
彼に随分流されてしまったけど、
今ならまだギリギリ引き返せるラインだと思う。