不機嫌なアルバトロス
「俺のせいで、あんたの生活は乱されちゃってるわけ、か…」
心なしか肩を落としているようにも見える。
どうでもいいけど、その筋肉隆々な上半身に服を着せてやってよ。
「い、いえ、あの、そういうつもりでいったのではなくてですね…」
いや、事実、その通りなんだけど、なんか調子が狂う。
「そうだよな。無理させてるよな。風邪ひいてるのに雪降ってる中、会社から歩かせちゃうし…」
「それはっ…自分のミスで…」
あぁ、なんだこれ。
私は必死で、ペットボトルと会話する中堀さんを何とか励ませないかと思案し始める。
「そうやって…俺が生活乱してるから、荷物も持たずに会社でてきちゃうんだな…」
「はい…て、え?!」
一度頷いて、中堀さんに目をやると、彼はしたり顔でこっちを見て笑っている。
荷物?
「鍵とか財布とか鞄には大事なもの入ってるのにね?」
クスリ、小さく笑うと中堀さんはソファから立ち上がって、傍にかけてあった長袖のシャツを着る。
私は完璧固まって、思考を彷徨わせていた。
荷物…鞄…
あ、れ、そーいえば。
私バッグをどうしたんだろう。
電車も使わずに、歩いてきたので気付かなかったけど。
ロッカーから持ってきた記憶がない。
と、ゆーことは。
つまり。。
「あっの!会社まで、取りに…」
手ブラで歩いてきたということか。