不機嫌なアルバトロス
今まで付き合ったどの人も。
私のことを好きだと言った。
愛してると言ってくれた。
それでも、良かったの。
ひとりぼっちじゃなければ。
身体だけしか、必要とされていなくても。
嘘でも。
良かったの。
良いと思ってたの。
「うっ」
悲しくなんかなかったの。
泣いたことなんかなかったの。
なのに今、どうして涙が出るんだろう?
そこらへんで満足することが。
知らないフリをしていることが。
優しさだと勘違いしてたの。
お互いが嘘を吐き合って、好きと言い合って。
本当の好きが何かもわからずに。
ただ、求め合うことだけで、繋がっていられると思っていたから。
だけど、よく考えれば。
本当の愛情は。
傷ついたことを隠すんじゃなくて。
傷つけたことを無かったことにするんじゃなくて。
幾重にも包んであげて、大事に大事に渡すものなんだろう。
だから、簡単に手に入るものじゃないんだろう。
今更そんなことに気付く私はやっぱり大馬鹿なんだろう。
今まで自分がなんとなくしてきてしまったこと。
積み重ねてしまったこと。
それを今、改めて後悔した。