不機嫌なアルバトロス
「つまり、好きって伝えると、駄目になるんじゃないかって花音は感じたんだよね?」



憲子の質問に私は頷く。



「カレは追っかけてきた理由は、なんか言ってた?」



言いながら、席を立つので、私もそれに倣う。




「えっと…オトモダチが…私の名前を呼んだから…」




レジに向かいながら、私は記憶を呼び起こす。




「呼んだから?」




あれ、そういえば、なんて言ってたっけ。




私、最後まで聞かないで、帰っちゃったんだっけ。




「どうしたの?」




暖簾をくぐって外に出ると、前に居た憲子が振り返った。





「あー…と。何か、、最後まで聞かないできちゃった、みたい。。」



テヘ、と笑ってみせる私に、憲子は盛大な溜め息を吐いた。



「…馬鹿っ」


「いたっ」


頭をペシっと叩かれる。



「あ、ちょっと」



憲子がずんずん前に行っちゃうもんだから、私は慌てて追いかけた。



「待ってよー」



声を掛けても、憲子は振り向かないしペースを落としてもくれない。



「憲子ってば…ぶっ」



小走りしたら、憲子の背中に見事に鼻をぶつけた。



「急に止まんないでよ…」



ずきずきする鼻を押さえつつ、憲子の背中を見上げる。




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