不機嫌なアルバトロス
「あ、ありがとう…ございます…」



心にぽっかり穴が空いたみたいに、無感覚になって、よくわからない。



だけど、嫌だという思いだけがこみ上げてくる。



《じゃ、空港に着いたら連絡頂戴ね。》



「!まっ…」



通話を切ってしまいそうな言葉に思わず引き止めてしまった。




《…何、どうしたの》




ちゃんと聞こえたらしく、中堀さんは切らないでそのまま訊いてくる。




「え、と…あと、、、」



《あと?》



カラカラに乾いた口の中。


暑いんだか寒いんだかわからない身体。





「6日…あ、明日からだと…5日、あるんですけど…」





よく、わからない願望。



よくわからない自分。


《うん。それまで5日あるよ。それがどうした?》




「それまで、一度も、会わないのでしょうか…その、、し、志織さんと、です」



私の精一杯の気持ちのカモフラージュ。




《俺は、会うけど。乃々香は会わない》




「で!でも!最初、2週間って言ってたじゃないですか…」




必死で食い下がる私。



《短くなったのに、嬉しくないの?》



「っ!」



嬉しくない。


全然、嬉しくなんかない。


欲を言えば、増えて欲しいくらいだ。



《最初から毎日とは言ってないし。今週は土曜だけ必要になった。それだけ》



でも、それで、さよなら、なんて。



絶対に嫌。



私、やっと素直になれたのに。




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