不機嫌なアルバトロス
ガチャリ。
タクシーを降りて、重い足取りで家に入るとそのままベットに直行。
―あー、眠い。
元々寝不足な事が多い、俺。
だけど、寝つきも人一倍悪い。
枕に顔を埋めながら。
散々だった、あの日、この部屋で。
話し合いすら出来ない、全く使い物にならない女をどうして、奪ってきてしまったのか、と反省したことを思い出す。
クラブを出た所で、直ぐに櫻田花音は気持ち悪いと騒いだ挙句、タクシーの中で気を失い、仕方なく家に連れてきたら見事にやってくれたんだよな。
着ていた服を全部クリーニングに出して、女物の服を知り合いの店に頼んで調達してもらって、ほんと、『散々だった』以外に表わせる言葉が見つからない。
そして―
案の定寝つけずに、そのまま女の寝顔を見ながら、俺には断ったのに、崇にはなんで付いて行こうとしたんだろうと考えたが、結局理由がわからなかった。
軽い、女だと思うんだけど。
そうじゃ、なかったり。
もしかしたら、たまたま俺と会ってたあの時だけ、体調が悪かったとかで、
起きた後になれば、少しはマシな、もとい、利用しやすい女になってるかな、と思いきや。
櫻田花音は目覚めもかなり不機嫌だった。