不機嫌なアルバトロス
あいつの家に着いて、直ぐにインターホンを鳴らすが、出てこない。



体調が悪いのだから、当然なのかもしれないが。


苛々したままの俺は、連打する。




―早く、出てこいよ。



なんで、そう思うのかはわからないまま。



どうしてか、あいつの顔が見たかった。




インターホンから声が聴こえた瞬間、催促する。



早く、出て来い。



カウントダウンすると、櫻田花音が慌てた様子で出てきたので、少し気持ちが緩んだ。





やっぱりあんたは阿呆だって。




チェーンが掛かってるのにはいささか不愉快だったけど。



あの手のチェーンは意外と外れるんだな。



おろおろするあいつはどうしてかどんどん奥へと逃げる。



俺が怖いのか?



それを見た俺はさらに苛々し、あいつを追いやる。



そして―


あいつがベットに倒れこんだ時。



俺の中の鬱積した感情が暴れ出す。




カウンターで拾った、崇に引っ張られたリボン。



車の助手席に置いたままだったそれを、俺は櫻田花音の顔にかかるように垂らす。



なぁ。



「…なんであそこに居たの?」




俺、思いの外、あんたを責めたいみたいだ。




現に今、このリボンを見たあんたの顔は、崇のことを思い出してたろ?


俺と目が合った瞬間を、浮かべただろ?

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