不機嫌なアルバトロス
狼の引っ掻き傷ータイムリミットまであと2日ー
―今日は、金曜日。
世間では、一週間頑張った最後の日。
今日頑張れば、明日は休みの日。
早く起きすぎてしまった私は、ベットの上で黒い帽子を指でくるくると回す。
私にとって明日は。
漸く中堀さんと会える日で。
さよならの日でもある。
あの電話をもらってから、携帯は本当に鳴らない。
中堀さんが突然現れたりすることもない。
私から、鳴らすことも、できないまま。
ふくふくと、膨らむ、あの人への気持ち。
考えてみれば。
中堀さんと私は、脅迫した方とされた方っていう関係なわけで。
中堀さんが要らないと言えば、会う必要はなくなるということだ。
だから。
私から会いに行くことは、おかしいんだと思う。
だって。
友達、でもないし。
勿論恋人、でもないし。
嘘の兄妹ってだけで。
実際、私は中堀さんのことを何も知らない。
つまり、中堀さんから切られたら、私からは動きようがない。
私は中堀さんにとって、なんでもない人間だって、言われた気がした。