不機嫌なアルバトロス



「で。中堀さん…あの、さっきから訊こうと思っていたんですけど…」




どん底のさらに奥深くまで行っていた私を、ここまで引っ張り上げてくれるなんて、恋ってなんて力を持っているんだろう。




「どこへ、向かってるんですか?この、車」




ちょっとまだふわふわした気分で訊ねると、中堀さんは何食わぬ顔をしながら。




「家」




短く、あっさり答えた。




「え!?」




高速に乗ってる時点で気付かなかった私も私だけど!





「私っ、明日も仕事―」




「送ればいいんでしょ?朝早く起きなよ。」




飄々と言ってのける中堀さんの腕をガシっと掴む。




「な、なんにも持ってきてないし!ちょっと、困りますって!」




「いや、危ないから、ほんと、止めて」




「なっ~~~~~~!!!!!!」






一瞬言葉を失うが、沈静化した筈の怒りがまた騒ぎ出す。






「中堀さんのっ、、ばかーーーーーーー!!!!!!!!!」



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