不機嫌なアルバトロス
「俺、あんたの社員証拾ったから。で、届けて、ランチに誘ったらなぜがひっぱたかれた」


そう言うと、にやり口角を上げて、彼は自分の頬に手を当てた。


も、も、もしかして。。。


私は固まる。


「え?!」


そんな私を、彼は終始面白そうに見ている。



「この落とし前、どうつけてもらおうかな?」



信じられない。


世の中こんなことってあるの?


何かのどっきりにしては長くない?


でも言われてみれば―


今はシャツを着て、椅子に座る彼をまじまじと見つめる。


纏っている甘い香りも、

整いすぎた顔立ちも、

昨日の人のものだ。


ただ、圧倒的に、あらゆる要素が違っているけれど。
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