海風【完】
「…どういう、つもりなの?」
引きつった顔が戻らず、
声が震えてしまった。
動揺を隠せない僕。
「あなた…あたしが
別れを切り出すとでも思ったの?」
彼女はいつも、僕の心を読む。
読んでいるつもりはないんだろうけど。
「ああ…そうだよ。終わると思った」
「バカだね」
そういって彼女は微笑む。
聞き慣れた口癖に僕の顔も綻ぶ。
「ああ、僕はばかだよ。世界一のね」
いつものやりとりに僕は嬉しくなった。
しかし彼女は先程のように
表情なく、遠くを見て口を動かした。