海風【完】







「あたしはね、
 あなたのそういうところが好きなの。


 自分のことを良く見せようとか、
 他人を立てようとか陥れようとか

 そんなこと考えもしないような…



 そういう、罪のないところが。」







僕は本当にばかだから、
彼女の言葉が難しくて

理解できないときがたまにある。




だから僕は決まってこう言う。






「僕にはよくわかんないけど、
 君がそれでいいなら僕もそれでいい」






我ながら、無責任な言葉だと思う。



ただ、僕には理解ができないし、

理解したところで
どうしようもないことなんだと思う。






「…そうだね。

 あなたは、あたしを肯定してくれる。
 あなただけは、あたしを否定しない。」





彼女は俯き、ボソボソと小声で続けた。










< 4 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop