海風【完】
「初めて話した時、
あなたを太陽だと思った。
みんなを優しく包む光。
太陽は、みんなに等しく降り注ぐ。
だけどみんなは、
それが当たり前だと思ってるし、
光が届かないと駄々をこねる人は、
お家の中で眠っているだけ。
あたしは…あたしは、っ…ごめ…っ」
そこまで言うと、彼女は
堪えきれなくなった涙を流した。
フェリー乗り場に車を停める。
何も言えない僕は、彼女の頭を撫でた。
「あり、がと…」
「ゆっくりでいいよ…落ち着いて」
深呼吸をして息を整える。
僕はその間、
彼女の頭を撫でながら考えていた。
太陽は、君のほうだと。