海風【完】
「…ねぇ…外、出ない?」
息を整えた彼女は
俯いたまま、小さな声で呟いた。
「うん、そうだね」
車を降り、無言のまま、
真っ黒な海の見えるとこまで歩いた。
「……あたし、ね…」
先に口を開いたのは彼女。
海風に髪が乱れる。
「うん」
僕は相槌を打つことしかできない。
「今日、はね…フラれに来たの…」
ばかな僕に彼女の言葉は難しすぎる。
「え?」
戸惑う僕を置いて、彼女は続けた。
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