海風【完】
「あたしは、雲のような存在で、
あなたの光を
一人占めしようとしてるの。
誰にも、届かないように。」
「…う、うん……」
「あたしは、ホントのアタシを
お家に閉じ込めてるの。
誰にも見られないように、
光が届かないように。」
「…うん」
「でも、ダメだった。
カーテンの隙間から溢れる光までは、
あたしは防げなかったから、
彼女は太陽の輝きに
手を伸ばしてしまったの」
「……手を伸ばしちゃ、いけないの?」
この言葉に、彼女は
切ないような、愛しいような、
複雑な表情を見せた。