密かな楽しみ
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夏の始め
朝からとにかく暑い。
職場の駐車場に入り、
バイクを降りた後、
上着を脱ぎながら、
溜息をつく。
脱水になったらたいへん。
同僚に迷惑をかける。
だから、いつものように駅近くのコンビニへ向かう。
頭の中で、なにを飲もうかと考えていると、
駅のほうから、歩いてきた
バスケのユニフォームに身を包んだ長身の男が、
にこやかにわたしの顔を覗きこんだ。