近くて遠い
ずっとそこにいて彼の姿を見ていたかった
だけど、早く戻りたいとも思った
悪魔と天使が葛藤した結果
悪魔が勝った
「香音戻ろ」
「えっ??なんで?」
「別にうるさいだけだしさ、語ろうよ!」
「う、うん」
〈短期は損気〉そんなこと
言われなくても分かってる
だけど嫌だった
あんな光景を目にしたら
香音にも少し苛立ってしまった
もう少し気使ってくれればいいのにって
「今日はさ少し話しとかして終わりだから 午前だよね?」
「うん。そうだよ」
「じゃあさ、今日どっか行こうよ!」
「いいよ!どこ行く?」
「うーん…まぁ適当に!」
「分かったよ」
その時私たちがいる教室のドアが開いた
「あ…」
山崎かずやがとうとうこの教室に来た
わたしは一瞬だけ見てすぐに目線を戻した
目が合いたくなかったから
何事もなかったようにしたかったから
「先生どんな人になるんだろうね~」
「優しそうな人がいいけどね」
「だね。女と男どっちだろうね」
「ね。まりあはどっちがいい?」
「女かなぁ」
「どうしたの?さっきから様子変だよ」
「そんなことないって」
「来たよ山崎」
「そうだね。」
なんでこういう時だけ気付いてくれないの
わたしの気持ちぐらい察してよ
香音に対してそう思ってしまった
「おっはよ~!!」
ここでも空気の読めないバカがいた
朝からハイテンションで挨拶してきた
白州 翔
山崎かずやの親友
ムードメーカー的存在のお調子者
いつでも元気が定着している
中学の頃から
わたし、香音、かずや、白州
この4人でいつも一緒にいた
そのみんなが高校に合格しこの状況に至る