Betrayer-ビトレイヤー-~嘘に包まれた気高き彼女~
チャイムはさっき鳴ったばかりだから、移動する時間を含めても、まだここにいるはずはないのだけど……
「京介……」
視線の先で笑いかけてくれているのは、間違いなく……あの日以来の京介だった。
髪は、相変わらずの派手な金髪……
だけどあの頃にはなかった、赤いメッシュが入ってる。
一見、かなりのヤンキーだけど、笑うと優しい感じになるのが印象的だ。
「久しぶりだな、明日菜。元気だったか?」
「……」
私は視線を下へと下げる。
さっきまで、あんなに京介に伝える言葉をシミレーションしたはずなのに……いざこうして対面すると、言葉が出てこない。
早く……伝えなきゃ……
「おいおい、なんつー顔してんだよ。久々の再会なんだから、もっと笑えって」
なんで……
なんで、そんなふうに……笑いかけてくれるの?
私は、京介の大切な人を……
大切な人を、殺したのに……