Betrayer-ビトレイヤー-~嘘に包まれた気高き彼女~
「紗耶香を殺したのも……京介から、大切な人を奪ったのも全部……全部、私」
私が紗耶香を殺した。
私のせいで、紗耶香が死んだ。
『お前が悪いんだぞ、明日菜。お前が、オレの言うことを素直にきかないから……オレのモノにならないから……っ!』
『助けて、明日菜!!いやああああああああああ』
現実を受け止めることができず、私は第2の犠牲者が出る前に、あいつのモノになった。これ以上、大切な誰かが傷つく前に……この町から離れるしかなかったんだ。
「明日菜……」
頭上から、京介の哀しそうな声がする。
涙が溢れそうになるのを必死に我慢した。
「1組ってことは……もう亮には会ったんだよな?」
目を閉じて……それから一旦、話題をそらそうとするように京介は口を開いた。
「うん……会った」