Betrayer-ビトレイヤー-~嘘に包まれた気高き彼女~
「あいつ、お前見てかなりびっくりしてただろ」
「びっくりしてたっていうか……怒ってたかな」
「フッ……だろうな」
私は力なく笑みを浮かべる。
そんな私に京介は言った。
「あいつ……すっげえ明日菜のこと探してたんだぞ?」
「……」
「なんで紗耶香が死んですぐ……お前はオレたちから姿を消したんだ?どこに行ってた?」
私は京介から視線をそらした。
それは、亮にも……そして、京介にも絶対に言えない。
そんな私の気持ちを察したのか、京介がそれ以上聞いてくることはなかった。
「そろそろ授業始まるだろうから……オレ、戻るな」
「うん……」
「また会えてよかったよ、明日菜。じゃあな。また来る」
歩いて行く京介の背中を静かに見送る。